~アウトドアの知恵を防災に活かす~「防災なのに、なんだかワクワクする」 1月9日、NIHO kamakuraで開催された「かまくら暮らしの防災術」。会場に集まった参加者たちの表情は、真剣でありながらも期待に満ちていました。今回のテーマは「袋メニューの可能性」。災害時にも役立つ調理方法を、実験を交えながら学んでいきます。■アウトドアと防災をつなぐ専門家たち講師を務めるのは、アウトドアライフアドバイザーの寒川一さんと、防災クッキングの専門家せつこさんご夫妻。寒川さんは北欧のアウトドアカルチャーに精通し、著書『新時代の防災術』『「サボる」防災で生きる』などで知られる防災のスペシャリストです。せつこさんは、アウトドアの知恵を活かした災害時対応の料理法を、メディアやワークショップを通じて幅広く発信しています。「防災というと、どうしても堅苦しく考えがちです。でも、アウトドアの技術を取り入れることで、楽しみながら必要なスキルを身につけることができるんです」と寒川さん。この言葉通り、今回の講座は和やかな雰囲気の中で始まりました。■なぜ「袋炊飯」なのか?「実は、この調理法はアウトドア愛好家たちの知恵から生まれました」と寒川さん。15年ほど前、山での活動中に出会った「ウルトラライト」という考え方が原点だといいます。1グラムでも軽量化にこだわる彼らが考案した方法が、今、防災の現場で注目を集めているのです。この方法の最大の特徴は、以下の3点です:最小限の水で調理可能燃料の大幅な節約完全密閉による衛生管理通常の炊飯では、米を研ぐ水、炊飯用の水、後片付けの水を合わせると、3-4合のお米に対して約10リットルの水を使用します。しかし袋炊飯では、お米と同量の水(100グラムのお米なら100cc)があれば十分。さらに、袋ごと煮る際の水は飲料水である必要がなく、お風呂の残り湯なども利用できます。■実験:時間との戦い今回の実験では、3分、5分、7分、10分という異なる加熱時間で炊飯を試みました。「通常は10分程度が基本ですが、災害時は燃料を節約したい。どこまで時間を短縮できるか、そして保温でどこまでカバーできるのか、それを検証します」(せつこさん)実験の手順:お米と同量の水を袋に入れる空気を抜いてしっかり密閉沸騰したお湯で湯煎それぞれの時間で取り出し、保温各グループには異なる具材も同時に調理。7分グループは野菜と卵、3分グループは舞茸と醤油、5分グループはかぼちゃを投入しました。「一度の加熱で主食とおかずが同時にできれば、さらに燃料の節約になります」(せつこさん)■実験結果から見えてきたこと最も短い3分での炊飯は、確かに芯は残るものの、しっかりとした保温により十分食べられる状態に。7分以上では通常の炊飯とほとんど変わらない仕上がりになりました。参加者からは「野菜の風味が逃げない」「味が密閉されている感じがする」といった好意的な感想が続出。特筆すべきは、この方法の応用可能性の広さです。実際に200世帯のマンションで実施した例では、50袋を同時に調理し、ローテーションで対応することで、効率的な炊き出しが可能でした。「部屋番号を書いて管理すれば、混乱なく配給できます。個別包装なので衛生面でも安心です」と寒川さん。■縄文の知恵に学ぶ講座では、意外な切り口からの防災の視点も提示されました。「縄文遺跡の立地には、現代の防災にも通じる重要な知恵が詰まっているんです」と寒川さん。縄文人が選んだ居住地の特徴:日当たりが良い必ず水場(湧き水)がある外敵から守られやすい高台にある「これらの条件は、まさに理想的な避難所の条件と重なります。鎌倉の地形を見ても、古くからの集落は自然と調和した安全な場所に位置していることが多いんです」■コミュニティづくりとしての防災「炊き出しは単なる食事提供ではありません。コミュニティの形成にも重要な役割を果たします」と語るのは、NPO団体「トランスフォーマンス」代表のせつこさん。地域の子どもたちを含めた防災教育の重要性も指摘します。「かつての薩摩藩では、地域の中で子どもたちが年長者から学ぶ仕組みがありました。現代の子どもたちは生活技術を学ぶ機会が減っていますが、防災活動を通じてそれを取り戻せるかもしれません」■日常でも使える技術この袋炊飯は、災害時だけでなく日常生活でも活用できます。「おにぎり1個分だけ炊きたい」という声に応えられる手軽さが魅力です。一人暮らしの方や、必要な分だけ炊きたい場合に特に重宝します。また、シャトルシェフのような保温調理器具を使えば、さらに可能性が広がります。「朝に火を通して入れておけば、夜にはカレーやシチューができあがっている。省エネで環境にも優しい調理法です」(せつこさん)■今後の展開「かまくら暮らしの防災術」は、この袋炊飯講座に続き、安全な火の取り扱いや、トイレ問題、ロープワークなど、実践的なテーマで継続的に開催されます。特に鎌倉の地形を学ぶ回では、ハザードマップや等高線から地域特有の防災について考えます。寒川さんは「防災は特別なことではありません。日常生活の中で楽しみながら、少しずつスキルを身につけていく。それが本当の意味での防災だと思います」と締めくくりました。次回は安全な火おこしと焚き火について学ぶフィールドワークを予定。防災とアウトドアの知恵が融合した、この独自の講座からは目が離せません。【イベント情報】 「かまくら暮らしの防災術」今後の予定 ・安全な火の取り扱い(フィールドワーク) ・アイデア防災クッキング2 ・トイレ問題を考える ・実用的なロープワーク ・シェルターづくり(フィールドワーク) ・鎌倉の地形を学ぶ ・役立つ防災アイデア共有会文字起こし鎌倉市 防災・環境会議録(第1部)参加者A: 今月末から知り合いの5歳の子供が、もやもや病で頭のバイパス手術をする時に、しばらく一緒に出て、このうちの会の4泊5日で預かなければいけません。抱負としては、自治会の活動に関わり、25年ぶりに具申を申し上げようかなと野望を持って臨みたいと思っています。上岡さん(主催者): 今年も山を駆け回ったばかりと思います。サバイバルの防災のところは少しずつ進めていて、もっと色々なことがありまして。難しいことはすぐ忘れてしまうので、笑って進めようと思います。防災のこともアウトドアと掛け合わせることで、楽しみながら備えるという考え方ができるので、笑って防災のことを考えていこうと思います。環境活動については、今年は自分で取り組めたらいいなと思います。防災とかも環境との関連性が高く、自然なものを使ったりする意味では、今日は良い機会です。現在、私の会社で地域のメディアを担当させていただいており、地域の方のために何かできないかと思っています。また、環境のことにも関心があるので、今後は環境を考えた暮らし方について、そういった取り組みができたらと考えています。寒川さん(講師): 縄文遺跡の活用について、去年からちょっとそういう話をしています。糸魚川で僕がもう何年も通っている場所があって、縄文遺跡の場所で竪穴式住居に火起こししたりとか、糸魚川の人たちと一緒にやってきました。当初は結構クローズドのイベントだったんですけど、何人か知人も呼べそうなムードになってきたので、去年一緒に来ていただいて、縄文遺跡の中で火起こしたり森の中を歩いたりしました。縄文遺跡は日本の中に何万点もあるんです。保存されているもので最大のものもいろいろありますが、人間たちの暮らしの跡なんです。そこがどこも一等地じゃないかというのが僕の考えです。一等地というのは:日当たりが良くて必ず水場がある(湧き水が飲める水が必ずセットになっていて)外敵からも守られる場所(動物とか自然の脅威からもある程度守られる)ちょっと高台にあったり気持ちよく暮らせるような場所彼らは昔は不動産屋さんがなかったから、自分たちの近くで全部そういう場所を探して、縄文遺跡のある場所はすべていい場所なんです。それを遺跡として置いておくのがもったいないというのが最初にありました。だって何もしなくてもいいんです、そこをただ保存してるだけでしょう。僕が一番いいなと思うのは、最適の避難所になったらいいということです。遺跡だって安全性とか水場があるという条件がいくつか揃っているわけです。ある意味自然の中で暮らしていく一等地が縄文遺跡かなと。その感覚を一般の不動産に当てはめたらどうかと。水場が近くに湧いているとか、裏に森があるとか。本来だったら駅から何分とか、学校があるとかコンビニがあるとかが不動産の価値だったんですけど、そうではなくて、いかに自然と共存できるかというのを一つの価値に変えていくと、ひょっとすると価値観が反転するぐらいの、実はめちゃくちゃ豊かな土地がすごく安く手に入るということになります。鎌倉市 防災・環境会議録(第2部)寒川さん: 理屈ではないんです。どちらかというと、そういうずっとお話しする合理性というか、理にかなっているような場所をこれから求める人が増えていくんじゃないかと。もうすでにそういう予兆はあるんですけど、多分これからもっとガイドさえいれば、水先案内さえすれば、実は自分の欲しかった場所はそういう場所なんだと気づく人が増えるでしょう。あと今回やっているこの防災のことが、すごくそういうのに生きてくるんじゃないかと。縄文不動産部は自然との共存なので、自然の立地の良さと、今皆さんでやっているようなことの知恵があれば、すごく人が強く豊かに生きていけるんじゃないかと思います。なんか本質を常に模索していこうというのを出していきたいなと。すでにそういう芽吹きはあるんですよね。そこをもっと縄文というワードを入れたことで先駆けてやると、ひょっとすると六本木に住むより、水場があるところの方がよほど人として豊かに生きられる。水道が止まっても大丈夫、みたいな、そういう価値を見出していけたらいいなと思っています。せつこさん: 私、NPO団体のトランスフォーマンスという団体の代表をしています。上岡さんも参加していただいています。自治会では去年は防災担当で、今年は給食担当をしています。地域の子どもたちのネットワークを作って、少年減災クラブを作ろうと言っているんですけども、そのベースになるのは薩摩藩の教育システムなんです。要は地域エリア、自治会のエリアで子供たちが年長者から学んでいく、自分たちのシステムを作っている。今の子供たちが生活から離されて、日々の仕事は学校に行って勉強していればいいよ、というだけになってしまっています。なんか大人たちの善意でもって生活から切り離されてきてしまった。私は昔、いろいろお手伝いとかやることがあったんですけど、今は全て作業がボタンで済むようになっています。空調から湯を沸かすのから、何もかも。そういったことを、本来の何もない状態から作り出していくというベースを身につけるのはすごく大事だと思っていて、松本さんが言っていた環境だと思うんですよね。それが地域のチャーク(絆)という、名前がわかっている関係を取り戻していくということ。結局なんか災害があった後も、佐川さんから教わった衣食住の原点で、最終的にはその生活は個々にできるようになっても、コミュニティをまた再構築していかなきゃいけない。その中でやっぱりそこで笑いがあるということと、体を動かすという環境を整えていくことを、今のうちに考えておいた方がいいんじゃないかなと思います。西鎌倉では今、エマージェンシーブランケットを導入するんです。最大で来年、すごい枚数を購入する予定です。千枚を最初に導入しますが、三千人以上住民がいるので、1000枚も全然足りない。けれど今年度の予算がないので、100円ショップで買ってもらって、来年度に向けて2000枚を追加購入する形で対応していく予定です。鎌倉市 防災・環境会議録(第3部)寒川さん: 今日やるこの実験の前に、これをやられたことがある方もいらっしゃいますね。なんでこれなのかっていうのを最初にお話しするんですけど、これには一つ重要なことがあって、お米を今日炊くんですけど、早く水につけておいた方がよりおいしくなるんです。喋っている間に水に浸しとけという話で、このワークショップをやるときは、まず水を入れてから、いろいろ作業したりお話しする。時間も無駄にしないという意味で、水にちゃんと浸水させておくとおいしくもできるし、失敗の率もぐんと下がります。水の入れ方ですが、このスライドよりお水が入るとちょうど同じぐらいになります。目分量でいいんですけど、これの線の倍の高さに約倍で水が入ったら同量の水が入ったということになります。ここまでしたら、空気を抜くことがポイントです。下から絞り上げていけば空気はなくなります。袋の縛り方は、リングを作るような感じです。こういう形でリングを作って、難しくないですよね。この状態で結構キュッとしまります。リングを作る理由は、例えばこういうところにお箸とかがあったら、こうしておくと鍋から引き上げやすいんです。あと開けやすい。単純にここを引っ張れば開けられます。水が多かったら柔らかいご飯、少なかったら硬いご飯というだけなんです。アウトドアで米を炊くときは、バンバン蓋を開けます。基本は沸騰し始めるまでは蓋を開けて、撹拌をずっとします。撹拌しないと下が先に炊けてしまって、上が生米になる可能性がすごくあるんです。せつこさん: 実験を始めましょう。7分で炊くグループには、野菜と卵を入れていただきます。卵は一個に対して大さじ1杯の水を入れると良い感じになります。3分グループは舞茸と醤油、5分グループはかぼちゃを入れてみましょう。寒川さん: この方法は、元々アウトドアのウルトラライトという考え方から生まれました。15年ほど前、山で一緒に活動した人たちから学びました。彼らは1グラムでも軽量化することにこだわり、ジップロックの袋の中にお米や穀物を入れ、そこにナッツや調味料も一緒に入れていました。コカ・コーラの小さな缶(50ccほど)をカットして自作したアルコールバーナーを使用し、チューブに入れたアルコールを燃料として使っていました。必要最小限の水でお米を炊き、袋の中で10分ほど保温した後、手で揉んで食べるという方法でした。彼らのこだわりはすごくて、例えば泊まりがけで行くとき、歯ブラシでも切っちゃうんです。柄がいらないと。寝袋のジッパーも取っちゃったり、逆さまにして使ったり。細かい所で重さを削っていって、一泊二日の荷物が2キロを切るんです。普通は10キロぐらいある荷物を、そこまで軽量化する。その中で生まれた袋飯が、今、防災食に役立つというのは感慨深いです。上岡さん: シャトルシェフという保温調理ができる鍋も用意しました。これは魔法瓶のような構造で、一度グラグラさせたものをゆっくり温度を下げられます。朝に火を通せば、夜にはカレーやシチューができあがるような鍋です。鎌倉市 防災・環境会議録(第4部)寒川さん: この方法の利点をお話しします。まず水が少なくて済むということ。米を炊くというのは、皆さんも説明の必要ないと思うんですけど、米を研いで捨てて研いで捨てて、するとすごい水を使いますよね。多分2、3リットルでは効かないぐらい、お米を研ごうと思ったら水を使ってしまう。今回のお米は無洗米ですが、本来洗わなきゃいけない米なんです。ただ、お米屋さんから聞いた話では、現代の米はもう洗わなくていいそうです。昔は結構ゴミが入ってたり、糠臭くなるとかいう時代でしたが、今の精米技術なら大丈夫だそうです。むしろおいしいお米になるじゃないですか、洗わない方がという意見もあります。米を炊くときの水って、本来はこんな水の量じゃないですよね。もっと鍋の中で大量に入るはずです。研ぐ水と鍋の中に入れる水、それからお皿を使ってご飯を食べる時の食器を洗う水、鍋も綺麗に洗う水。考えると、おそらく3合とか4合のお米を炊くのに10リットルぐらい使っているんじゃないでしょうか。この方法の場合は、まず米と同量の水、米が100グラムだとしたらおおよそ100ccの飲料水を入れます。これを沸かすための水は水道の水でも大丈夫です。泥水でも大丈夫。なぜなら密閉しているから外から流入してこないんです。せつこさん: 実験の時間配分について、3分、5分、7分、10分で炊いてみましょう。短い時間で炊いた場合は、保温時間を長めにとることで補います。例えば、通常10分というものが3分で保温することでできるなら、燃料は3分の1しか使わないということになります。寒川さん: 避難所とか被災した現場で炊き出しをやっていて、水が出ない現場でそれをやっていくと、どんどん衛生面が悪くなっていくんです。洗っているようでちゃんと洗えてない、流水で洗えないということが日常的になる。お米は保存食だから炊けたのはいいんですけど、しゃもじが完全に汚染されていたり。それで食べた100人、200人が全員食中毒になりかねない。背景には、みんな免疫力が落ちているから風邪もひきやすいし、ちょっとしたこと、普段だったら全然お腹を壊さない人でも、すでに弱くなっていて、睡眠不足とか栄養が偏っていたりする。そしてトイレとかが劣悪な状態になる。もうなんかその悪循環が始まっていく。この袋炊飯の方法なら、一人一人密閉ができて、予想も必要ない。不平等さもない。後生とかすごい量の米を200人に分けるのは、めちゃくちゃ難しいです。最初気前良く持っちゃうけど、最後絶対足りなくなる。人によってはなんかいやあの人の方が多いとか少ないとかという話になるんですけど、これはもう完全にこれ炊けたらこれではいはいって渡せる。実際にパワーマンションでこのワークショップをやったことがあります。世帯数が200世帯というマンモスな規模でしたが、この米炊きがどれくらいでできるのか実験しました。おそらく50袋とかぐらい入る大きな鍋があって、マンションの備蓄ガスを使用。世帯数と鍋の容量は合っていませんでしたが、沸いたら次のロットを入れていく形で対応しました。水自体は全然減らないんです。多少蒸発はするけれども、次はゼロから沸かすんじゃないから、すぐ沸かせる。それを3、4回ローテーションしたら、その世帯数分のお米を提供することができました。その時に部屋番号をここに書いて、201とか305とか。お米も全部皆さんから持ってきてもらったんです。普段食べているお米を持ってきてもらって。4人世帯、二人暮らしみたいな人たちで全然大きさも違うんですけど、そこも不平等さはない。その人たちが持ってきたお米ですから、文句を言われても困るわけです。実験してみると、おばあちゃんが「これだったらおにぎり1個分で炊けるね」って言ってくれたのが、すごい気づきでした。お米って皆さん1合からとかある程度分量から炊いて、一人暮らしだと食べきれなくて冷凍庫にどんどん増えていくらしいんです。これは食べたい量が炊けるんですね。おにぎり一個分でも炊いていい。鎌倉市 防災・環境会議録(第5部・最終)実験の実施と結果:寒川さん: 沸騰し始めるまでは蓋を開けて撹拌します。なぜかというと、焚き火でやっているから温度が高いんです。普通の電気釜みたいなのよりも。だからもうグラグラグラってお米がぐらつくまでは、グリグリグリグリと中の温度をいかに均一にしていくか。でも沸点まで行ったら、もう蓋を閉めてしまって、余熱で炊いちゃうぐらいでちょうどいい。めちゃくちゃそれで美味しくなります。焦げ付きもあんまりないです。せつこさん: ちなみにこのシャトルシェフは、一度グラグラさせたものを入れておけば、すごくゆっくり温度が下がっていくので、例えばシチューとか朝ねちょっと火を通していってこの中に入れていけば、もう夜にはカレーとかシチューとかできあがっているんです。お湯も長時間保温できるので、後でかけるものとかハンバーグとかがちょっとぬるくなっていたら、ここに入れることもできます。実験の注意点:寒川さん: ガスバーナーが当たっているところの熱がすごく高くなって、鍋がこうあるとすると、ここのところの真ん中がすごい熱いんです。周りがどんどん熱が減っていくので、真ん中に置かないようにする。というよりか、僕は皿を入れるというのは、沈めるとか直接鍋に当たらないようにする。だからさっきそれがひょっとしたらなかったので熱くなってきたら、加熱で穴が開いてしまうこともあります。実験結果の感想:参加者たち: 「野菜の風味が逃げていない」 「味が密閉されている感じがする」 「やっぱり一人で実験するより、大勢で食べた方がいいですね」 「水分で今この3分のものは結構芯があるので、保温で対応していきます」 「少し固めですが、保温でカバーできそう」寒川さん: 静岡にあるお米屋さんと一緒に実験をやったことがあります。安藤米店という有名な米屋さんで、米酒職人がいるんです。釜で炊き上げるんですけど、僕は焚き火でやるからコラボレートしたイベントをやったことがあって、米を炊く前にどうやったらおいしいお米が炊けるかというのを、彼が専門的に説明してくれました。いわゆる「うまくなる曲線」が温度変化の曲線にあって、その火を加えるタイミングであったりとか、そこに何本の薪を入れるか、しかも計算された燃料の太さですね。これ三本やるとこれぐらい温度が上がるみたいなのを全部知っているんです。ただ漫然とグラグラさせていくんじゃなくて、温度管理が重要なんです。めちゃくちゃ美味しかったです。おかずのいらないお米でした。米だけで十分美味しいって思えるものでした。高地での注意点: 標高の高いところでご飯を炊くと、沸点が低いので角が残りやすくなります。そういう場合は二回炊きをしたり、保温時間を長めにとったりする工夫が必要です。今後の展開: 西鎌倉ではエマージェンシーブランケットを大量導入する予定です。これを使って保温効果を高めることで、さらに効率的な炊飯が可能になるでしょう。また、この方法は普段の生活でも、必要な分だけ炊けるので無駄がなく、環境にも優しい方法だと言えます。