美味しいコーヒーが増えましたね。カフェで飲むのも良いし、豆を買って家で飲むのもよし。朝の一杯、仕事中の一息、友人との語らい…コーヒーのある暮らしは、今では欠かせないものになっています。でも時折、感じたりしませんか? 「豆代、ちょ〜っと高いな…」って。コーヒー豆の価格は、この10年で2倍に実はコーヒー豆の価格はこの10年でおよそ2倍(+115%)まで上がっています。スーパーで買える豆も、こだわりのスペシャルティコーヒーも、軒並み値上がりです。気候変動での収量の不安定化、世界的な需要の増加、物流コストの上昇、円安──さまざまな要因が重なり、今後もしばらくこの傾向は続くと見られています。美味しいコーヒーを日々飲みたい。でもお財布事情がちょっと気になる…そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。生豆なら、半額で買えるそこでNIHOでは、少し変わった提案を始めることにしました。コーヒーの焙煎前の生豆を買って、自分で焙煎するというものです。NIHOではスペシャルティコーヒーの生豆を100g400円程度で販売します。同じ豆を焙煎済みで買えば、通常は800円〜1,000円。つまり、自分で焙煎するだけで価格はほぼ半分になるのです。「ほほ〜う。でも生豆を買っても、どうやって焙煎するの?」ご安心を! NIHOにはなんと焙煎機があります。初心者でも簡単に扱える焙煎機を使って、その場で焙煎して持ち帰ることができます。それに、安さだけではありません。むしろ、その先にある焙煎というモフモフしたコーヒーの奥深い世界へ案内したいのです。じっくりと火の中で踊るコーヒー豆の音を聴き、色を見て、香りを嗅ぐ。わずか10分ちょっとの体験ですが、そこにはとっても奥深い世界が広がっています。今回は、生豆販売のお知らせに合わせて、そんな焙煎の世界をご紹介です!焙煎とは? 「香りをつくる技術」コーヒーの生豆を見たことがありますか?匂いの想像はつくでしょうか。生豆の実物は、このように薄い緑色です。嗅いでみると、一番近いのは、ただの草?青臭い草の香りがするというのが近いかもしれません。ではこんな青臭い草の香りから、どうやってあの香ばしい魅惑のコーヒーの香りになっていくのか?そこにすごい魔法があります。無味の生豆に火を入れていくと、 生豆の中にある多様な化合物(糖、アミノ酸、タンパク質、脂質、有機酸などなど!)がさまざまな反応を起こし、 なんと800種類以上の香気成分が時間ごとに主役を変えて生まれていくのです!あのキャラメルのような甘さ、 果実のようなフルーティさ、 ナッツのような香ばしさ── すべては、わずか10〜15分の間に起きる、自然の化学反応が生み出す香りです。それでは、豆の中で何が起きているのか、 温度の上昇とともに変化していく香りの物語を追ってみましょう!① 乾燥期(〜150℃前後)──香りの「舞台」づくり生豆には約10〜12%の水分が含まれています。 焙煎の最初の数分間は、まずこの水分が抜けていく段階です。香りは、まだ青草のような青臭さ。トーストや穀物に似た香りが少し出始めます。でも、豆の内部では大切な準備が進んでいます。 表面から内部へ、じわじわと熱が伝わり、 豆の細胞がゆっくりと膨張し始めます。細胞の間に微細な空間──いわば「熱の通り道」ができていきます。 この小さな空洞こそが、のちに香り成分を閉じ込める器になります。ここで焦ると、外は焦げても中は青いまま。 焙煎は、「待てる人」が勝つ技術です。② 1ハゼ目(180〜200℃)──華やかな香りの爆発!やがて「パチン!」という音が響きます。豆たちのフィーバーが始まる最初の号砲です。 ライブ会場で最初の一音が鳴り響いた瞬間のように、 この音を合図に、豆の内部では華やかな香りたちが一斉に弾け始めます。これが「1ハゼ(First Crack)」です。このタイミングで、香りが一気に花開きます!じきに、「パチン!パチパチパチン!」と、コーヒーたちがにぎやかに踊ります。豆の中で糖とアミノ酸が熱で出会い、反応する── これがメイラード反応と呼ばれる現象です。 身近なものだとステーキやパンの焼き目、香ばしいキャラメルの香りを生むあの変化が、 豆の内部で一斉に起きているのです。この温度帯は、「酸味が最も明るく、香りが立ち上がる瞬間」。華やかで軽やか、果実のような酸味── この鮮やかな香りで止めるのが、浅煎りです。「いやいや、コーヒーはここからだよ?」ともっと奥深くへと焙煎を進めるのが深煎りへの道です。ここが、焙煎の重要な分岐点です。③ 2ハゼ目(210〜220℃)──深く、重厚な香りへさらに熱を高めていくと、一旦先ほどまでのフィーバーが鎮まり、あれ、大丈夫?というような気持ちになります。それをこらえてよーく見ていると、聞こえてきます。「チッ…、チチチッ… チチチッ…」大人びた静かな賑わい。玄人たちの集うサウナ、あるいは深夜のジャズバーにいるような深みのある響きです。この小さな破裂音は、豆の構造がさらに崩れ、油分が表面に滲み出してきたものです。これが「2ハゼ(Second Crack)」です。ここからは、香りが「深さ」を獲得していきます。糖がさらに分解するカラメル化反応が進み、 脂質も分解されて、新しい香り成分が次々と生まれます。アーモンドのような香りのフルフラール、スモーキーなグアヤコール、コーヒーらしいローストの香りの2-フルフリルチオール、ほのかにクリーミーな甘みを加えるラクトン類、深いコクをもたらす揮発性脂肪酸…まるで役所広司や渡辺謙、大泉洋…1人で映画を作れる重鎮たちが豊かに集っているようです。こうして華やかだった酸味は落ち着き、 代わりに深いコクが現れます。ここでさらに焙煎しすぎると、「焦げ」。焦げの香りに占領されて、豊かな風味は消え去ってしまいます。ですので、ここから一気に終わりに向かいます。④ 冷却──香りを「閉じ込める」最後の瞬間すぐさま火を止めて回収しますが、豆の内部にはまだ熱が残っているので、一気に風を送って豆を冷まします。そうすることで、香りがぐっと閉じ込められて豆に留まるのです。こうして、多様な反応を経て、800種類以上の香りによる味わい深い映画が生まれます。その映画を爽やかな青春モノにするか、グッと深いハードボイルドものにするかは、あなた次第。それを作るのは特に難しいことはなく、なんとスマホで簡単に設定が可能です。あとはハゼの音を聞いて、いつ止めるかを決めるだけです。はぜる音の聞き分けだけが少し難しいですが、みなさんだいたい2回程度で慣れていきます。コーヒー好きなあなたもぜひ、新たな焙煎の世界にやってきてください☺️鎌倉で生豆の購入ができる場所は少ないですので、ぜひ気軽にお越しください。NIHOのスペシャルティコーヒーは、フェアトレードを大事にしている海の向こうコーヒーさんから仕入れています。焙煎も最初はレクチャーしますので、上達するのもお楽しみに☀️