梨が2玉690円!果物はなぜ高くなったの?秋だなとスーパーに立ち寄って、みずみずしい梨を手に取ると、2玉で690円でした。「おっ…、うっ…、なにっ…」本当に買うほど食べたいのか…? 思わず考えさせられる値段でした。子どもの頃を思い出すと、もっと気軽に果物を食べていた気がします。放課後のおやつにりんごが出てきたり、夏休みは冷やしたスイカを家族で囲んだり。あの頃と比べて、果物はどこか「特別なもの」になってしまったように感じます。いつから、果物はこんなに「特別なもの」になってしまったのでしょうか。梨を、果物を、もっと手軽に食べたい!「この街のすこやかな人生を支える」を大事な理念にしているNIHOとして、どうしたら良いだろうかとその理由を探究していくと、意外な真実が見えてきました。今回は、果物にまつわる流通の問題と、その上で農家さんと直接関係を持つ新しい販売の仕方のご紹介です。梨690円の内訳--農家に届くのは半分だけ?例えば、この梨2玉690円の内訳を追ってみると、意外な事実が見えてきました。高くなった果物を買ったとしても、生産している農家さんの手元に届くお金は、実は半分以下なんです。(約48.5%の335円)残りの半分(355円)は、農家さんから私たちの手元に届くまでの「流通の旅路」にかかる費用でした。具体的には、こんな内訳です:- 集出荷(JAなどの選果・梱包):約104円(15.0%)- 卸売市場:約36円(5.2%)- 仲卸:約79円(11.5%)- 小売(スーパー):約137円(19.9%)つまり、梨の価格の半分以上は、畑から食卓までの「移動」にかかるコストなのです。農薬や人件費などの生産費用が高くなったと言えども、もし私たちが農家さんから直接買えたら、梨は半額程度で買えているはずなのです。「では、中間業者が悪いということ?」そう思われるかもしれませんが、そういう話でもなく、ここからが大事です。中間業者はあくまで社会のニーズに応えてきただけ市場や卸売業者、小売店などの中間業者はそれぞれ、重要な機能を担っています。全国の産地から果物を集め、品質を検査し、小口に分けて、各地のスーパーに配送する。在庫リスクを負い、価格変動を調整し、綺麗な形のものだけを消費者に届ける。私たちがスーパーで果物を買う営みは、この壮大な流通構造の上に成り立っています。問題は、なぜそんなに複雑で壮大な流通システムが必要になったかというところです。「梨を作った人から買って食べたい」、ただそれだけなのに。梨が高い本当の理由、すなわち、壮大な流通システムが必要になった理由。それは、私たち消費者が、「食べたいものが、いつでも、どこでも、安定した品質で買える」、その安定供給・安定品質を求めてきたからでした。・最寄りのスーパーに寄ったら、旬の果物が売られていないのはいやだ・果物を見ていると形が悪いものはいやだ私たちの多くはそう思ってしまいますが、全てのスーパーで、同じ時期に、同じ果物が、安定した品質で売られているには、大変な手間がかかります。まず時期です。農産物はその年の気候に合わせて早く育ったり遅く育ったりしますが、もし全国で同じ時期に収穫をしてしまうと、ある時期にはたくさん溢れてある時期には少ない、といったことが起きたり、収穫が少ないと、こっちのスーパーには売られているけど、他のスーパーでは足りないから売れない、ということが起きてしまいます。それが起きないようにするために、収穫時期をならすための調整が全国的に行われています。農地で目の前の果物が最適な時期かどうかにかかわらず、青森では11月第一週に、福島では第二週に、長野では第三週に収穫してください、そういった調整を全国規模で農協さんが毎年計画して行っています。その結果として、先日訪問したりんご農家さんがこう教えてくださいました。「本当は再来週くらいがりんごに蜜も入って一番美味しい時期なんだけど、『この地域は今週収穫してください』っていう指示だったのよね」果物を収穫するのが、本当に美味しい時期、ではなく、全国規模で供給量を均一化できる時期、になってしまうのです。さらに、農家ごとに収量も変動するので、直接スーパーに送るわけにはいかず、一つの場所に集約して、各スーパーに行き渡るために配分の調整も行う必要があります。だから大田市場といった大きな市場が存在し、それを仕分けるという作業が生まれてしまいます。そして農産物は生きた命。いろんな形が自然に生まれます。時には形の悪いものも生まれます。そういったものはクレームが出やすいので、事前に仕分けて取り除く必要があります。そのためにも、仲卸業者という存在がスーパーと農家の間に入って、そのスーパーの顧客が望む品質のものを仕分けています。このようにして、・全国的に価格や時期の調整をする農協・供給の配分を調整するための集約拠点としての市場・各農産物の行き先を決めて規格外は除外する仲卸・それを一般消費者に販売するスーパー(小売)という存在が必要不可欠になり、それぞれ利益も必要なので10%前後の利益(コスト)が乗っかっていく、という仕組みだったのです。「いつでも、どこでも、美味しいものを」この完璧さを求める期待のために、必要なコスト・手間が生まれてきたのだと、今回調べることでわかりました。そこに昨今の気候変動や獣害などで収量もさらに不安定化し、結果としてより価格が高まってきたというカラクリだったのです。改めて、私たちがほしい豊かさを考えてみよう「いつスーパーに行っても、美味しいりんごがちゃんと売られている」それはやっぱり、忙しい現代人には大事なことと思います。でも、そのせいで買えないほどに値段が高くなってしまっては元も子もありません。それ以外の買い方もないだろうか?そうして思いついたのが、農家さんからの直接大口購入です。最近は産直サービスなども増えてきて、農家さんからの直接購入もできるようになってきましたが、3kgなどの家庭用の量で購入する場合、個別での梱包も面倒だし、配送料もバカになりません。結果として、スーパーで買うより大幅に安くなることは難しいです。だからこそ、まとめて買う。・30kgなどの大口の量でまとめ買い …段ボールにまとめて入れるなど手間も少なく、配送料も少なく収まる・訳あり品の混在も大歓迎 …余った訳あり品はこちらでジャムなどにする・毎年購入の長期的な関係 …あくまで農協さんなどの超大口を優先して、不作の年は売らなくてOKこうすれば、配送料や仕分け作業も少なく抑えられ、農家さんとしても一回で数千円以上、そしてそれを長期的に安定した収益として見込める、という形で良いのではないだろうかと考えました。そのため、こういった形で農家さんから仕入れて、NIHOの会員さんなどの100−200人規模に安価に販売する、この形なら、農家さんも十分な収益が得られて、消費者側も安い値段で買える!※青果の販売は地域の保健所に届出を出す形で可能です。ということで、これから、果物などの単価が高いものについて、その季節ごとに農家さんから直接購入という形をいくつか実験してみたいと思っています!トップバッターは長野県の吉池果樹園さんです!季節はこれから冬へと向かっていく中で、りんごの甘さが引き立つ時期です。ということで、今回の取り組みに共感いただける農家さんを探して、長野県須坂市の吉池果樹園さんにご協力いただきました!吉池果樹園さんは長野県須坂市にあり、今の代表の吉池 拓也さんで3代目となる代々続くりんご・ぶどうの果樹園です。モットーは「見た目より味を重視して栽培すること」。特にりんごに関しては、葉っぱを取らない「葉とらずりんご」を重要視されています。これは、蜜が入りやすく味が濃くなり、ジューシーなりんごを実現するためです。肥料は有機質肥料を使用し、化学肥料や除草剤は一切使用していないそうです。お会いした吉池さんは、とっても気さくで、「どうしてまたうちなんかにたどり着いたんですか…?」と楽しくお話する人で、まっすぐりんごやブドウの味を追求されています。28歳の時に創業者の祖父が亡くなり、「後は頼むぞ」という言葉を受けて、家業を継ぐことの決心がついたそうです。そこから10年をかけて農業を学び独立に至っています。吉池果樹園さんの大きな特徴は、化学肥料と除草剤を一切使用しない栽培方法にあります。代わりに使用しているのが、「米の精」という有機質肥料です。これは金芽米の肌ぬか、つまり米の「とぎ汁の元」を再利用した肥料で、子どもやペットが誤って口にしても安心です。化学肥料のように急激に効くのではなく、自然のリズムに合わせて果樹に栄養が供給されるそうです。農薬についても、徹底した減農薬栽培を実践していて、使用する農薬は長野県基準の約半分です。この減農薬栽培はやはり楽な道ではないそうです。「毎年、病害虫を防ぎきれなく奮闘していますね。笑」と正直に教えてくれます。そして吉池果樹園で栽培されるりんごは珍しいことに、「葉とらずりんご」です。これは、葉を摘まずに栽培したりんごのことを指します。一般的なりんご栽培では、果実全体に太陽光が当たるように、りんごに影をつくる葉を摘み取る「葉摘み」という作業を行います。でも葉っぱは、りんごに栄養と甘味を補給する大切な役割を担っています。葉で行われる光合成によって、甘みのもとであるソルビトールが作られ、それが果実に蓄えられていくのです。葉とらずりんごは光合成によりソルビトールが豊富に含まれるため、蜜入りのものが多くなります。蜜入りりんごは、糖度が高く、濃厚な甘みとコクのある、まさにりんごの王様です。葉が日陰を作ることで果実の水分蒸発も防ぐため、ジューシーな仕上がりになります。でも欠点が一つだけ!見た目が良くないのです。葉に隠れた部分は太陽光が当たらないため赤く色づかず、葉っぱの影の形がそのまま残ったりと、色ムラのあるりんごになってしまいます。それを少しでも防ぐために、木の間隔を保ち、何本も支柱を入れて枝を持ち上げて満遍なく太陽光が届くようにするなど追加の作業が必要になります。それでも葉取らずりんごにこだわるのは、吉池さんが見た目より味を大事にしているからこそ。見た目よりも、美味しいものを大事にするそんな想いを感じてもらえたら何よりです☘️そしてこのリンゴを育てる長野県須坂市自体も、周囲を山々に囲まれて、昼夜の寒暖差が大きく、水はけも良い最適な環境です。そんな景色も思い浮かびますように。私たちが、「いつでも、美味しい品質のものだけを」と完璧を求めてしまうと、かえってそこに大きなコストが乗ってしまうけれど、旬の時期に、色んな見た目を受け入れて、そしてみんなでまとめて買えば、子どもの頃のような手軽さで、果物が手に入る。街の多様な人が集い、日々の暮らしを支えるシェアリビングだからこそ、そんなまとめ買いの拠点としても使われたらと思い、今回の取り組みを始めてみる予定です。ぜひ、この気持ちの良い土地でリンゴを日々育てている吉池さんに想いをはせつつ、NIHOで吉池果樹園さんのりんごを手に取ってみてください🍎スーパーではりんごは240円程度ですが、今回の直接購入のおかげで、150円でお渡しできます、お楽しみに☀️ (その分、NIHOの冷蔵庫がりんごにあふれているので、皆さんぜひ受け取りに来てください。笑)吉池果樹園さんはこちらから詳細がご覧いただけます。食べ直などでも注文が可能です☀️https://yoshiikekajuen.com/